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建築家訪問記-大阪の森本京治さん-

  N house 
  Nhouse 外観
 
            Nhouse リビング


   森本さんに会って7年ほどになる。最初は取材で御夫妻に会った。体も顔も丸い、
  目も丸い、人柄も丸い、丸だけで構成された人。だから最初の印象は「丸いな~」
  人柄はすこぶる健全、実直。仲良くなって、海外も旅した。もの創りに対して頑固
  なところもあるが、それはモノ創り人には当然で、施主のわがまま、思いつきをい
  ちいち聞き入れていたら、良い結果は待っていない。建築家に任せきる施主ほど
  良い家を手にできる。ただしそれは良質な建築家を選ぶ目を持つことである。良質
  な建築家とは何か?それは良質な人間性と豊な能力を持つ人である。間違っても、
  構造偽装建築で世間を騒がせた姉歯元建築士やデベロッパーなどの類いの悪質、
  低俗な人間を選択しないことである。安い!安い!ばかりを連呼する建売屋や、
  「設計料はサービスです」などという工務店の類も要注意である。設計という仕事
  は、サービスでできるような軽い仕事ではない。人の命や財産を左右する仕事で
  ある。彼の作品を拝見し、多くの会話を交わす度に、森本さんへの信頼感は増す
  ばかりであった。こういう人に頼めば、施主は臍を噛まない済むと思えた。作品も
  建築雑誌社に持ち込めるレベルの高さである。
  :宮本和義

 写真の作品紹介  「N house」
   太陽光をいつも享受でき、明るく優しい内部空間がである。北向き斜面のに建
   っており、太陽光をリビングの大きな吹抜上部の窓から取り入れている。シナ
   合板に白ペンキを拭き取って使い、淡い白色の下に木目が見えるナチュラル
   でニュートラルな優しい感じにとなっている。またそれは、壁や扉や造り付け
   家具は存在を曖昧にし、愛着のある手持ち家具と住まう人を表舞台に立たせ
   ているようである。
   新築時にはコンクリートのままであったテラスもデッキテラスとなり、土のまま
   であった庭にも、雑木が植えられクライアントが端正込めた庭には、鳥達が餌
   をついばみにくるまでになっている。
   :文責 atelierM5

  森本京治さんの事務所  M4建築設計室
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Kazuさんの近代建築スケッチブック

 北陸電力福岡第一発電所
 中部電力福岡第一発電所

 □北陸電力福岡第一発電所(旧金沢電気瓦斯発電所)
   石川県白山市河内町福岡
   1911(M11) 設計/金沢電気瓦斯 施工/不詳 
   ★国登録文化財

   福岡第一発電所は、国道沿いにある。明治44年金沢電気瓦斯により電気事
  業用に建設された手取川水系手取川初の発電所。キングポストトラスを使用し
  た切妻造、煉瓦造、要所に半円アーチ・丸窓、丸窓などの細部意匠を持つ。
  現在、水車発電機3台が設置されており、最大3900キロワットの発電を行っ
  ている。加賀の自然と見事な和音を奏でている。
  

昔町百景 -集落をあるく-

「出雲崎」

  紙風船の里の妻入り集落       新潟県三島郡出雲崎町
  出雲崎
出雲崎は、江戸時代は天領だった地である。
ここは単なる漁港ではなく、佐渡とを結ぶ港でもあった。
この日本海沿いの漁村が天領(幕府の直轄地)となったのは、偏に佐渡の金のためであった。
俳聖・芭蕉も元禄2年7月に、奥の細道の旅でここを訪れている。
芭蕉園という庭園 も造られている。
集落は、日本海に面して一筋道に、妻入りの民家が3.6km連なる。
日本一の長さで、通り抜けるだけでも1時間近くを要する大散歩となる。
妻入りの「妻」とは大棟と直角の壁側、つまり建物の短辺側をいう。長手側は「平」という。
江戸時代 には、ここでは間口の大きさで税金を徴収していたので、間口が狭く奥に深い(長い)家が造られたのである。ほとんどの家が3間前後である。
当時の出雲崎は、越後一 の人口密度であったため、海沿いの狭い土地の有効利用にも、街道に多くの家が 玄関を構えれるこの建築様式は好都合だった。
また「佐渡おけさ」の源流はこの地であるといわれる。
昔懐かしい紙風船も、全国の生産量のほとんどがこの出雲崎である。
 
atelierM5 / Ki

建築家訪問記 -福島県の阿部直人さん-

 阿部さんの作品1(郡山市)

 阿部さんの作品2(郡山市)

  阿部さんに初めて会ったのは十数年前、以前から親しかった郡山の建築
 家・嶋影健一さんの紹介である。第一印象は「温厚な好青年」。
 作品を見てその洗練された感覚に驚かされた。阿部さんは、東京の建築家
 富永譲さんの事務所で研鑽を積んでから、故郷に帰って独立。富永さんもシ
 ャープな感覚の建築家だが、師が優れているからといって弟子の誰もが優
 れているとは限らない。コルビュジエに師事したからといって、師には遠く及
 ばない建築家も多くいたはずである。著名建築家の事務所にいたことだけを
 を看板にして商いしようなどという輩は怪しむべきで、あくまで本人の人柄と
 感覚が重要である。真摯で品性のある人柄は美しい作品以上に尊ぶことで、
 依頼主が家造りに失敗しないための原則である。その上で、確かで美しい
 家ができるならベストであろう。阿部直人さんはそれを叶えてくれる建築家
 の一人である。
 :宮本和義(写真家)

 写真の作品紹介  「池ノ台の家2」
  揺るやかな傾斜をもった敷地。家の中で営まれるさまざまな行為の中心
  にメインのフリースペースがある。1階と2階を結ぶ中間レベルにリビング・
  ダイニング・書斎などのスペースがスキップしながら緩やかに繋がり、人
  を包み込む空間性のあり方が大切にされている。
  :atelierM5 文責

 
 
   アーキスタジオ/阿部直人建築研究所  

昔町百景 -福島宿-

 福島宿03・木曽郡070509-400-270

 木曽路の中心の町といえば木曾福島である。丁度、江戸と京都の中間点に当たり、
関所も置かれた町である。31才で悲劇的に散った武将・木曾義仲所縁の地でもあ
る。ここには短いが古い町並みの「上の段」という地区があるこの宿場も、江戸幕府
の命により防塞の町造りがされている。敵の侵入を防ぐために、急な坂道や石垣を
造り、道を鍵の手に曲げた、いわゆる桝形も設けている。
 上の段の街並み修景も良く、なまこ壁の蔵や千本格子を持つ家が見られる。とくに
巾の小路入口辺りから城跡方向を眺めると、緩やかな上りの街道に深い軒の家が、
緑の山を背景に見事な景色を作って見とれるしまう美しさである。奈良井、妻籠、馬
籠と知名度の高い宿場町に比べて古い家並みのスケールは小さいが、雰囲気と美
しさではひけを取らない、訪ねる価値十分の福島宿である。
:atelierM5/Ki
 

Kazuさんの近代建築スケッチブック

東洋紡績井波工場事務所      東洋紡井波工場事務所


□ 東洋紡績井波工場事務所
  富山県南砺市山見2000
  1932(S7) 設計/橋本勉建築設計事務所 施工/竹中工務店

   井波町は、名刹瑞泉寺の門前町である。参道沿いに、木彫師の屋号を上げる
   家が何軒も連なる欄間彫刻の町でもある。東洋紡の工場はそのゆるやかな坂
   の町並みのやや下方にある。美しい事務所の姿は、道路から見える。道路の
   方が高いので、やや高台から眺める感じである。ハーフテンバーの意匠だが、
   貼付柱である。カーブを持つ斜材、クローバーや菱形の模様もつけて建物に柔
   らかい変化を与えているのは、出稼ぎにきた女工たちの思い出に刻む建物を
   目指したからという。

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このブログは、atelier M5(アトリエ エムファイヴ)のブログです。旅で出会った町並みや建築、そして建築家の人たちなどのことをお伝えしていきます。画像・文章の著作権はatelier M5に帰属します。画像やテキストの使用を希望される時はご連絡ください。

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