2008/11/26
昔町百景-集落を歩く-「佐原」 第15回
「佐原」下利根の水郷の里 千葉県香取市
★重要伝統的建造物群保存地区

佐原は、江戸時代には「小江戸」と呼ばれ、利根川図志(1855)に「佐原は
下利根附第一繁昌の地なり・・・水陸往来の群集昼夜止むことなし」と記され
ているように、非常に賑わった水郷である。太平洋を南下してくる船は、房総
半島を迂回せず、 佐原で川舟荷をに積み替えて、利根川、江戸川を上って
江戸に荷を運んだ。つまりここは江戸の外港であった。
町は、香取街道と小野川が十字路を成す形である。川の左右に出桁造り
や土蔵造りの、比較的大きな寄棟妻入り商家がある。 川岸には、船に荷を
積み出しするための「だし」と呼ばれる台や、石段が残っている。 街道沿い
には、正文堂や中村乾物店など平入りの古い商家が多い。 そんな和風の
家に混ざって、赤煉瓦の旧三菱銀行や蜷川家具店、 小堀屋別館(旧銀行)
などの近代洋風建築も数件あるのが楽しい。 さわらは、地理学者 ・伊能忠
敬の生誕地でもあり、記念館もある。高速道路を使えば、東京から1時間半
もあれば着く佐原は、埼玉の川越と並ぶ関東でも屈指の昔町といえよう。
