2021/09/19
昔町百景 -第23回-
片雲の風に誘われて -異形の旅へ-「津軽」

香取神社の狛犬 弘前市
狛犬を始め心惹かれる異形、奇相なるものを求めて旅を棲家として数十年がたつ。
日本列島を縦横に旅したが、誰も訪ねるであろう観光地はほとんどパスする偏屈な
旅である。
津軽にも何度か行ったが「ねぶた」を見るわけでもなく、ましてやグルメ旅でもない。
小さな神社の鳥居の上にちょこんと座る「おにっこ」とあちこちに数匹いる奇相なる
狛犬を見たいだけの津軽行であったが、弘前には明治時代津軽一帯に
「太宰治生家」などの擬洋風建築を沢山建てた「堀江佐吉」という棟梁がいて、
この人にも会いたくて彼の作品も沢山訪ねた。
今も津軽といって思い出すのは、
「おにっこ」と「佐吉」と美空ひばりの「りんご追分」である。

三社神社の鬼コ 平川市
写真・文 宮本和義