2022/05/22
昔町百景 -第40回-
片雲の風に誘われて -異形への旅-
「香車の駒群」 栃木県日光市三内・輪王寺開山堂の隣
一間社流造りの朱塗りの堂の前面には石の鳥居ある。
これが「産の宮」で、堂前には将棋の駒「香車(きょうす)」が数多く積まれている別名「香車堂」。
妊娠した女性がこの堂にお参りし堂前の香車の駒を借りてきて祈願すると安産できるという。
ご存知のように香車は直進のしかできない駒なので、まっしぐらに安産できることを叶えてくれる神様として信仰されたのだろう。
そして安産できた暁には、御礼として新しく駒を作って借りてきた駒とともに返す。
したがって駒の数は増えてしまった。
実はこの堂の御本尊は楊柳観音(ようりゅうかんのん)で、正式には「観音堂」である。
写真・文 宮本和義