2022/10/09
昔町百景 -第50回-
片雲の風に誘われて -異形の旅へ-
「しばられお春」 神奈川県鎌倉市材木座
かくれキリシタンの受難像だといわれる。
もともとこの神社にあったものではないようだ。
20cmほどの手のひらに乗るような小さな石像である。
後ろ手に縛られ、髪派は単純に束ねられ、着物の襟は左前なことは死装束であることを物語る。
着物は細い紐のようなもので結ばれている。
囚人は荒縄が多いが縄ではない。
この女の処刑を見ていた者が憐れんで彫った像だろうか。
春という名はどこかに記されていたのか、真実は不祥である。
彫像年は天和4年(1684/江戸前期)である。
憂いを帯びた悲しい像だが表現力溢れる彫像である。
同じような像が石川県金沢市にもあるという。
写真・文 宮本和義
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