建築家訪問記 -福島県の阿部直人さん-


阿部さんに初めて会ったのは十数年前、以前から親しかった郡山の建築
家・嶋影健一さんの紹介である。第一印象は「温厚な好青年」。
作品を見てその洗練された感覚に驚かされた。阿部さんは、東京の建築家
富永譲さんの事務所で研鑽を積んでから、故郷に帰って独立。富永さんもシ
ャープな感覚の建築家だが、師が優れているからといって弟子の誰もが優
れているとは限らない。コルビュジエに師事したからといって、師には遠く及
ばない建築家も多くいたはずである。著名建築家の事務所にいたことだけを
を看板にして商いしようなどという輩は怪しむべきで、あくまで本人の人柄と
感覚が重要である。真摯で品性のある人柄は美しい作品以上に尊ぶことで、
依頼主が家造りに失敗しないための原則である。その上で、確かで美しい
家ができるならベストであろう。阿部直人さんはそれを叶えてくれる建築家
の一人である。

写真の作品紹介 「池ノ台の家2」
揺るやかな傾斜をもった敷地。家の中で営まれるさまざまな行為の中心
にメインのフリースペースがある。1階と2階を結ぶ中間レベルにリビング・
ダイニング・書斎などのスペースがスキップしながら緩やかに繋がり、人
を包み込む空間性のあり方が大切にされている。

アーキスタジオ/阿部直人建築研究所
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